「哲学の道」から特別公開中の霊鑑寺で椿をめでる

400本もの桜が並ぶ哲学の道には、その葉が桜餅に使われることでも知られるオオシマザクラも咲いている400本もの桜が並ぶ哲学の道(左)には、その葉が桜餅に使われることでも知られるオオシマザクラ(右)も咲いている

 別荘群を抜け、「哲学の道」へと参りましょう。若王子橋から銀閣寺橋までの疏水に寄り添う約1.5kmのこの小径には、大正時代に京都画壇で活躍した橋本関雪が寄贈した「カンセツザクラ」をはじめ、ソメイヨシノやヤマザクラなど400本を超える桜が植えられています。細い道なので桜をめでる人の渋滞が起こることも少なくありませんが、それでもやはり心惹(ひ)かれる桜名所です。

 道中、案内板に従って橋を渡り、東へと坂を上がっていくと、椿の名所霊鑑寺です。江戸時代の初めに第108代後水尾天皇が開いて以降、明治時代まで皇女が住職を務めた格式高い門跡寺院です。通常非公開ですが、4月13日(日)までの間、庭園と書院、本堂の特別公開が行われます。

「霊鑑寺」書院上段の間。狩野派による襖絵には桜の花が描かれている「霊鑑寺」書院上段の間。狩野派による襖絵には桜の花が描かれている 写真提供:霊鑑寺

 椿の種類はなんと100種以上!京都市指定天然記念物である「日光椿」をはじめ、白牡丹椿、舞鶴椿など珍しい椿も咲き競います。見頃を過ぎた後の“散り椿”と苔との共演にも風情があります。桜と同じ日に椿を楽しむこともできそうです。

 ちなみに、山茶花(サザンカ)と椿、どちらもツバキ科ツバキ属なので見た目もよく似ていますが、花の見分け方をご存じですか? 山茶花は花びらが一枚ずつはらりはらりと散るのに対し、花びらと雄しべがつながっている椿は首から花ごとぽとんと落ちます。そのため、武士は椿の花をあまり好まなかったといわれています。

苔とのコントラストが鮮やかな霊鑑寺の散り椿、京都市指定天然記念物の日光椿、手水鉢を彩る椿の花苔とのコントラストが鮮やかな霊鑑寺の散り椿(上)、京都市指定天然記念物の日光椿(左下)、手水鉢を彩る椿の花(右下)  写真(上・右下)提供:霊鑑寺 拡大画像表示