
3月に入って20℃を超える日もあり、降り注ぐ光が日に日に春めいてきました。桜だよりが聞こえてくる前に楽しみたい京都観光のキーワードは「お釈迦様」。亡くなった陰暦2月に当たる3月公開の三つの「涅槃図」を巡り、7カ寺の釈迦如来像に会いに参りましょう。(らくたび、ダイヤモンド・ライフ編集部)
3月15日はお釈迦様を偲ぶの涅槃会
暦の二十四節気では「啓蟄」。生きものたちも目覚める春のはじまりとなりました。寒波の影響でしょうか、例年なら梅の花が満開を迎えているころにもかかわらず、前回ご紹介した北野天満宮、京都御苑、菅大臣神社など梅名所の開花状況は、ほとんどが“咲き始め”。今年は梅と桜を同時に見られるかも? そんな期待が高まってきました。
3月の京都で注目の年中行事は「涅槃会(ねはんえ)」や「涅槃図」の特別公開でしょう。「涅槃」とは、仏教を開いたお釈迦様の入滅した(お亡くなりになる)こと。その日は陰暦2月15日で、現在の暦では3月15日に「涅槃会」の法要を行うことが多いようです。お釈迦様の誕生を祝う4月8日の「降誕会」、お釈迦様が悟りを開かれた12月8日の「成道会」と共に、お釈迦様の“三大法会”として大切にされています。
涅槃会の際には、さまざまなお寺で「涅槃図」を堂内に掲げ、特別公開されます。ご覧になったことがあるかもしれませんが、この涅槃図は、お釈迦様が入滅されたときの様子を分かりやすく伝えるため描かれています。陰暦2月15日の満月の夜、8本の沙羅の木に囲まれた床の上に安らかに横たわるお釈迦様、享年80。
頭は北に、お顔は極楽浄土のあるとされる西に向いています。その周囲にたくさんの弟子や鳥獣が寄り添い、嘆き悲しんでいます。どのような動物がどのような姿かたちで描かれているかに、時代背景や作者の個性がうかがえるのも観賞のお楽しみの一つです。