
自動車に関する複合的なサービス(カーライフのトータルサポート)を行うプレミアグループは、2007年の創業からわずか10年で東証二部に上場(翌2018年12月に東証一部へ市場変更、現在はプライム市場へ移行)し、躍進を続けている。同グループのエンジンとなっているのが「人」だ。2020年には、グループ役職員を対象とした研修を企画・実施する会社として、株式会社VALUEを設立。「常に前向きに、一生懸命プロセスを積み上げることのできる、心豊かな人財を育成します」というMISSIONを掲げて、“人財”を輩出している。そのユニークな研修のひとつ“バリューミュージカル研修”を「HRオンライン」がレポートする。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/菅沢健治)
研修のテーマは、「私が終わる、私が始まる」
ある大手企業の“ミュージカル研修”の取材の話が舞い込んだ。ミュージカル研修――これまで、私は、企業のさまざまな研修を取材してきたが、初めて耳にする言葉だった。
いったい、どのように、“ミュージカル”というエンタテインメントを、企業の研修に取り入れるのか? 疑問と好奇心に駆り立てられながら、その“ミュージカル研修”が行われる会場に足を運んだ。
それは、自動車に関する複合的なサービスを提供する企業=プレミアグループ株式会社(*)の「バリューミュージカル研修」というものだった。
* プレミアグループ株式会社…所在地(本社)/東京都港区虎ノ門 業務内容/株式等の保有を通じた企業グループの統括・運営等 グループ会社/プレミア株式会社、プレミアワランティサービス株式会社、プレミアモビリティサービス株式会社、カープレミア株式会社
「バリューミュージカル研修」は、プレミアグループ株式会社のグループ広報・教育部部長であり、グループ内の研修を企画・実施する株式会社VALUEの代表取締役・田中真琴さんと、ミュージカルカンパニー「音楽座ミュージカル」(以下「音楽座」)が共同で企画・開発した研修で、今回2024年度の実施が3度目だった。研修受講者は、プレミアグループの入社3年目の社員19名。全員が同期入社だが、所属先はさまざまで、全国の職場から研修会場に集まってきたという。
彼ら彼女たち研修受講者は、事前に、音楽座のオリジナルミュージカル作品『SUNDAY(サンデイ)』(以下『SUNDAY』)を動画視聴していたが、『SUNDAY』とはどのようなミュージカルなのか? 研修に携わる藤田将範さん(音楽座ミュージカル チーフプロデューサー)に尋ねた。

「『SUNDAY』は、アガサ・クリスティーが、(メアリ・ウェストマコット名義で)執筆した『春にして君を離れ』という小説を原作にしています。主人公である一人の女性が、娘の看病のためにバグダッドに赴くのですが、その帰り道に悪天候のため、砂漠で足止めを喰らいます。身動きのできない間、主人公は、何不自由なく過ごしてきた自分の人生を振り返るというストーリーです。その『内省』というテーマが、入社3年目社員の研修内容にマッチしています」(藤田さん)
研修受講者たちは、『SUNDAY』の主人公さながらに、入社してからの自分を振り返っていく。入社3年目という時期は、キャリアを少しずつ積んでいる一方で、仕事への“慣れ”から、ルーティンワークをこなすだけになったり、伸び悩んだりしがちである。現在の自分を内省し、振り返ることに大きな意味があるという。
研修受講者は、4つのチームに分かれ、それぞれのチームがミュージカル(=歌・ダンス・セリフ・ストーリー)を創作し、作品を全員の前で発表することになっている。研修のテーマは「私が終わる、私が始まる」――20代半ばの研修受講者たちが内省を経て、昨日までの自分といったん決別し、新しい自分になるのだ。しかし、誰もがミュージカルの実演経験がないことを考えると、ミュージカルを一から創作することは、ハードルが高いように思う。19名の入社3年目社員たちは、どのように、自分たちのミュージカルを創り上げていくのだろう。