
トランプ・プーチン両首脳が初協議
ロシアに有利な停戦の懸念、払拭できず
ロシアが侵攻したウクライナの停戦を巡って、米国とウクライナ、欧州諸国の間に亀裂が走る中で、トランプ大統領とロシアのプーチン大統領の初の電話での協議が行われた。
会談では発電所などのエネルギー施設などへの攻撃の停止で合意したが、米国とウクライナが合意していた「30日間の無条件での即時停止」にはロシアは応じなかった。今後、米ロの間で、黒海での海上停戦や恒久平和につながる完全な停戦に向けて協議を進めることで折り合ったという。
この会談結果についての米ロの対応は、両者の間の溝を明らかにするものだった。トランプ大統領は会談後、SNSで協議について「非常に良好で生産的だった」「恐ろしい戦争の終結に向けて迅速に取り組むことで一致した」と投稿、成果を強調してみせた。
一方でロシア側は、侵略・併合したウクライナ4州の領有を当然としたうえで、ウクライナのNATO加盟やゼレンスキー政権の存続を認めない姿勢は、この日の協議でも変えるそぶりは全く見せなかった。
結局、トランプ大統領がロシアに有利な条件で停戦を図る懸念は払拭されないままだ。停戦という「結果」を米国民に見せようと、前のめりになっていることだけではない。米国という民主主義国のリーダーでありながら、トランプ氏には、プーチン氏、およびロシアの権威主義体制に対する、否定し難い羨望や尊敬の念がある。
大統領になる前からのプーチン大統領との間に交わされた私的な書簡からも、トランプ氏のプーチン氏への強い共感がうかがえる。
米国とウクライナや欧州諸国との「溝」が埋まるのかは不明であり、むしろ米国は核大国同士のロシアと“共存”を図りながら自国の利益優先の「孤立主義」の国になっていく可能性が強まる。