トランプ大統領Photo:Bloomberg/gettyimages

 ドナルド・トランプ米大統領が登壇し「米国の黄金時代が正式に始まった」と宣言すると、熱狂的な拍手が沸き起こり、無数の携帯電話が同氏に向けられた。

 就任から1カ月後のマイアミでは、サウジアラビアが支援する投資家向け説明会が楽観的な雰囲気に満ちていた。トランプ氏は経済指標を列挙し、「ナスダックはわずか数カ月で10%近く上昇した」「ダウ工業株30種平均は2200ドル上昇した」などと述べた。この日(2月19日)S&P500種指数は過去最高値を更新した。

 だが、トランプ氏が主要貿易相手国と矢継ぎ早に関税合戦を繰り広げると、それも帳消しになった。S&P500種はわずか数週間で4兆ドル(約601兆5200億円)目減りした。めまぐるしく変わるトランプ氏の通商政策や、人工知能(AI)ブームを巡る楽観論の後退、物価上昇と成長鈍化への懸念による消費者心理の悪化が要因だった。全米産業審議会(コンファレンスボード)が3月25日に発表した同月の消費者信頼感指数は4カ月連続の低下となり、2021年1月以来の低水準となった。

 株価はその後やや持ち直したものの、トランプ氏が放った次のショックが待ち構えている。米国製品に関税などの貿易障壁を課している貿易相手国に対し、4月2日の「解放の日」から相互関税を適用すると述べた。

 場当たり的のように見えるやり方に不安を抱く企業経営者やロビイストからは、詳細を尋ねる電話がトランプ氏のチームに殺到している。政権関係者が明らかにした。ホワイトハウスは企業の懸念に耳を傾けていると話す関係者もいる。ただ、より穏健で的を絞ったやり方を求める声にトランプ氏が従うかどうかは分からないという。