
復権したトランプ米大統領は、就任初日から関税をはじめとする公約実現にまい進している。政府のスリム化、減税、金融規制の緩和なども今後進められていくだろう。こうしたトランプ2.0に死角はないのか。リスク要因を検証する。(ピクテ・ジャパン シニア・フェロー 大槻奈那)
就任初日から猛威を
振るうトランプ氏
トランプ政権が発足してからまだ1カ月もたっていないが、市場はトランプ氏一色だ。その爆発力を、第1次政権時との比較で見てみると、政策の大胆さとスピード感が段違いになっていることがわかる(図表1参照)。第1次政権はこの第2次のための助走にすぎなかったのかと思えるくらいだ。
まずは予想通り、関税については就任初日から活発な発信が続けられている。2月に入ってすぐ中国への追加関税が発効し、前回は、いくつかの国に対しては免除された鉄鋼とアルミニウムに対する関税(25%)を世界一律とした。半導体、自動車、医薬品に対する広範囲な課税の可能性にも言及している。
関税以外の公約実現にもトップスピードで臨んでいる。次ページでは、主要な公約の実現に向けた動きを分析するとともに、トランプ2.0の死角、包含するリスクについて検証する。