
「糖質制限」というとダイエットで取り組んだ方も多いのではないでしょうか。体のなかで余ってしまった糖質は、肥満の原因だけでなく、食後高血糖、動脈硬化やがん、認知症といったさまざまな病気のリスクを上げることがわかってきました。しかし、単に糖質を減らせばいいかというと、そうではありません。大柳珠美さん著、砂山聡さん監修の『老けない、ボケない、病気にならない 糖質を“毒”にしない食べ方』(青春出版社)から、これからの人生を楽しむための「糖質制限」をご紹介します。
糖質はエネルギー源であって「栄養」ではない
「タンパク質、脂質、糖質は三大栄養素」といわれていますが、実は糖質だけは性質が異なります。
タンパク質と脂質は体を構成する材料として使われる「必須栄養素」。しかし、糖質は必須栄養素ではありません。そして、糖質だけが(1型糖尿病の人を除いて)血糖値を上昇させます。ヒトという生物にとって必須栄養素ではない糖質は、極端な話、なくても生きられるのです。
「栄養」とは生命維持に欠かせないもので、人体の構成成分となるタンパク質と脂質は「栄養」なのです。ビタミン、ミネラルも同様の意味で「栄養」といえます(タンパク質、脂質、糖質の三大栄養素にビタミンとミネラルを加えて「五大栄養素」といいます)。
では、糖質の役割は何かというと、「人体を動かすエネルギー」となることです。「体を動かすエネルギーである糖質を制限すると活動できないではないか」というのは早計で、外から摂取する糖質の代わりになるものを人間は持っています。それが自分自身の「体脂肪」。
体脂肪率2桁は何十万カロリーにも相当しますから、日々の活動に必要なエネルギーは十分。極端なことをいえば、さらに入れる(食べる)必要はないのです。