朝食は食パン1枚、お昼はおにぎりやうどん、夏のお昼は食欲がないので毎日そうめんという糖質まみれの食事を続けていれば、体重はジワジワ増えていきます。

 糖質過多の食事では、糖質をエネルギーに変えるために必要なビタミンやミネラルなどが不足します。エネルギーに変換されなかった糖質は体脂肪として蓄積されてしまうのです。また、糖質というエネルギーがひっきりなしに入ってくるので、体脂肪をエネルギーとして使うチャンスもありません。

糖質自体が悪いのではなく、摂りすぎが害になる

 人類何百万年の歴史において、糖質を安定的に摂取できるようになったのは農耕が行われるようになった約1万年前。それ以前の狩猟や採集で食料を得ていた時代では糖質(甘いもの)はめったに口にできなかったのです。実りの季節に頬張った果実は、どれほど甘くおいしかったことでしょうか。糖質を欲する・おいしく感じることは何百万年の歴史を経て人類のDNAに刻まれています。本能は糖質を欲するのです。

 本能が求めるのだから糖質はおいしい。多幸感をもたらす脳内物質β(ベータ)エンドルフィンも分泌され幸せな気持ちになる。魅惑の糖質を現代は望むだけ食べられる。

 しかし、本能の赴くままに際限なく糖質を摂取していると、とてもすべてを消費しきれません。余った糖はどうなるかというと、体のなかで「毒」へと変貌するのです。

 タンパク質、脂質、糖質の三大栄養素のうち、タンパク質と脂質は「栄養」、糖質だけが「エネルギー」です。もうひとつ、糖質だけが持つ特徴は「血糖値を上昇させる」ことで、ここにもまた厄介な問題が存在します。

 糖質たっぷりの食事のあと血糖値が高い状態が続くことを「食後高血糖」といい、血液中に増えた糖が血管を傷つけてしまうのです。

 血管を守るため、血液中の糖は細胞が活動するエネルギーとして使われます。蓄えられている体脂肪より、入ってきたばかりの糖質が優先的にエネルギーとして消費されるのは血管を守るためなのです。

 糖をエネルギーに変換するのがインスリンです。しかし、ビタミンやミネラルなどの栄養が不足していると変換ができません。変換できなかった糖はというと、脂肪として体に蓄えられることになってしまいます。