性被害の90パーセントは
「信頼できるはずだった人物」が犯人

「信頼できる」大人とは、どう定義できるのでしょうか?

 子どもの性被害の90パーセントは、親戚、親の友人、被害児よりも年長の子ども、コミュニティ内の有力者など、被害児とその家族にとって「信頼できる」はずだった人物の加害により発生しています。

 ということは、「誰か」では定義できないということです。定義するには、その人物の「行為」に焦点を当てなくてはなりません。「信頼できる」大人なら、子どもに対して次のようなことは決してしません。

・何らかの事項について、親あるいは保護者には秘密にするようにと言いきかせる
・嘘をつくよう強要する
・からだの安全を守るためのルールを破らせようとする
・不安に思うこと、不快に感じることをさせようとする
・物やお金で釣ったり、だましたり、弱みを握ったりして何かをさせる
・何らかのかたちで脅迫する
・下卑た言葉、攻撃的な言葉、性的な言葉を使用する
・不適切な写真を提供するよう要求する
・その子の「特別な友達」であると自称する
・親あるいは保護者の知らないところで物を買い与える
・その子と2人きりの時間が持てるよう画策する

 こうした行為をする人物は、「信頼できない」大人です!

「信頼できる」大人の
見つけ方とは?

 皆さんの周りの大人で、お子さんを守りたいという気持ちがある人を思い浮かべてみてください。わたしたち家族にとっては、おばあちゃん(わたしの母)がそんな存在でした。

 でも、そうした人たちが、子どもの性被害についてくわしいとは限りません。ですから、お子さんを守りたいという気持ちがあることに加えて、子どもの性被害を防ぐことについて前向きに学ぼうという気持ちもある人が、「信頼できる」大人です。

「学ぶ気はある?」と単刀直入に聞きづらければ、それとなく切り出してみましょう。

(メールやメッセージのやりとりでも、会って話しているときでも)お子さんの話題になったときに、「からだの安全の守り方」についてどんなことを教えているかにふれてみるというのは、きっかけづくりの一つです。