
今年のゴールデンウイーク、11連休は無理でも、前半と後半に4連休ずつという方は多いかもしれません。青もみじの始まる初夏、京都三大祭の一つ「葵祭」に合わせて、のんびり散歩してみましょう。注目は京都のお嬢様が担う「斎王代」とりりしい流鏑馬(やぶさめ)神事の射手、そして国宝と青もみじの神護寺です。(らくたび、ダイヤモンド・ライフ編集部)
ヒロイン「斎王代」が決定、「葵祭」が幕を開ける
4月中旬だというのに全国的に夏日が観測されました。二十四節気で夏の始まりを示す「立夏」、今年は5月5日。ああ、夏日よ、風薫る5月を心地よく過ごさせておくれ……。そんな心情の一句を詠んでみたくもなります。ゴールデンウイークの京都を「葵祭」を軸に青もみじと共にご堪能ください。
毎年4月の半ばが近づくと、葵祭のヒロインとなる今年の「斎王代」が発表されます。選考する葵祭行列保存会が挙げる条件は、京都に縁のある未婚の女性。茶道や日舞などの素養、十二単などの費用負担に耐えられる実家の財力も不可欠で、「祇園祭」のお稚児さんと並び、京都の“ええとこの子”が主役を担うわけです。
4月14日(月)に京都新聞が「67代斎王代決定!」のニュース速報を出しました。斎王代となったのは、京都市左京区出身の山内彩さん。建設や不動産事業を手がける四条大宮の会社のご令嬢で、現在は東京藝術大学大学院音楽研究科邦楽専攻。箏(生田流)、三弦の演奏や京舞も得意という、笑顔の素敵なやまとなでしこです。
歴代の斎王代の実家を見ると、新選組ゆかりの壬生(みぶ)寺、六波羅蜜寺、今熊野観音寺といった寺院、医師や外資系投資会社の経営者もいますが、多くを占めるのは京都に縁の深い会社の経営者です。3姉妹が斎王代を務めた京漆器「象彦」、和装「ゑり善」「井澤屋」、京菓子「老松」、料亭「菊乃井」「美濃吉」といった老舗、「キョーラク」や「トーセ」のような京都発の比較的新しい会社も。裏千家や池坊からも出ています。戦後初代の斎王代は四柱推命をベースとした総合占い師となり、中には国会議員に転じた方もいます。
葵祭は五穀豊穣をつかさどる賀茂の神様の祟りを鎮めるため、馬に鈴を付けて走らせ、豊作を祈願したのが始まりと伝わります。斎王は「いつきのみこ」とも呼ばれた未婚の内親王や女王がかつては務めていました。11年にも及んだ応仁の乱の後に一時中断されましたが、江戸中期の1694(元禄7)年に復興。京都三大祭の中では最も歴史あるお祭りとして連綿と受け継がれています。そして、1956年から斎王代が登場して花を添えています。
