青もみじと国宝の「神護寺」

爽やかな青もみじ爽やかな青もみじのシーズンがいよいよ到来

 ゴールデンウイークの京都三つめのおすすめが、青もみじの名所でもある真言宗の古刹神護寺(右京区)。5月1日(木)から5日(月)まで特別公開が行われます。気候のいいこの時期、風を通すことで湿気を払って虫やカビを予防する「虫干し」を兼ねて、国宝「伝源頼朝画像」のほか、伝平重盛像、釈迦如来像、灌頂暦名(かんじょうれきみょう)など寺宝の数々が公開されます。

「灌頂暦名」とは、ここ神護寺で空海が密教の継承者と認定するための儀式を行って、弟子たちの名を記した直筆の記録です。博物館よりもずっと間近で鑑賞できるチャンスですので、お見逃しなく。

 寺宝を堪能した後は、書院の枯山水庭園「灌頂の庭」へ。白砂と石、苔が織りなす端正な庭園に、まだ芽吹いて間もない青もみじの、淡くみずみずしいグリーンの色彩が寄り添います。神護寺のある高雄へは京都駅から約50分、乗り換え不要でアクセスできるJRバスが運行されています。駅構内のジェイアール京都伊勢丹で京料理の老舗のお弁当を買って、高雄一帯の青もみじハイキングと併せてお出掛けになるといいでしょう。

 ここからは再び葵祭に戻ります。12日(月)には葵祭の中心的な儀式の御蔭(みかげ)祭(下鴨神社)と御阿礼(みあれ)神事(上賀茂神社)が行われます。御蔭祭は、下鴨神社の境外摂社である御蔭神社で新しく生まれた神霊を迎えに行くもので、午前9時に神馬(しんめ)と共に下鴨神社を出発した一行は、叡山電鉄叡山本線終点「八瀬比叡山口」が最寄り駅の御蔭神社まではるばる赴きます。

 正午ごろに静寂と神秘に包まれた境内に到着。こちらで新しく生まれた神霊を櫃に移し、神馬に乗せて下鴨神社へ。糺の森に着いてから切芝神事が行われます。この神霊「荒御魂(あらみたま)」が本殿に迎え入れられて、下鴨神社の祭神である「和御霊(にぎみたま)」と一体になるのです。

 一方の御阿礼神事はこの日の夜、上賀茂神社で行われます。一般には非公開のため詳しく知ることはできませんが、最も古く最も重要な神事とのこと。御阿礼とは、神の誕生や来臨を祝うことだそうです。

 この3日後にはいよいよ、京都御所を出発して下鴨神社を経由、上賀茂神社に至る8kmの道のりを練り歩くハイライトの「路頭の儀」となります。今年は木曜日ですが、雨天の場合には翌日開催となります。1995年には雨天のため中止となり、40代の斎王代は再選されて翌年もご奉仕されました。また、2020年からの3年間は新型コロナ禍により祭り自体が中止されています。次ページでは、葵祭の行列を見るためのベストスポットをご紹介します。