ディズニーの「キャスト」も
スタバの「パートナー」も理由があった
ラベリングによってポジティブな変化を促す取り組みは、多くの企業でも行われています。
例えば、東京ディズニーリゾートでは園内で働いている従業員を「キャスト(演劇などの配役、出演者)」と呼んでいます。会社側がそう呼ぶことで、あるいはお互いをそう認識させることで、「夢の国」を演出するための重要な役割を果たしていると自覚してもらい、それにふさわしい行動をさせるためのラベリングです。
マクドナルドが店舗で働く従業員を「クルー(船や飛行機などの乗組員や搭乗員)」と呼んだり、スターバックスコーヒーが全従業員をパートナーと呼んだりするのも、会社がそう決めることで、お互いに同じ船に乗っている乗組員、同じ立場の相棒として協力し合って働く意識を持たせようとラベリングしていると考えられます。
この手法はマーケティングにもよく使われていますし、逆に消費者が自らにラベルを貼ってしまうというケースもあります。
最近、○○女子、××男子のような呼称づくりが活発ですが、これには消費者や利用者にラベリングすることで、より積極的に消費、利用してもらおうという意図があります。「ワークマン女子」という言葉がつくられて、自分自身をそうだと認識した人は、よりワークマンで買い物をするでしょうし、自然と服装や趣味などがそっちの方向に寄っていきやすくなります。
褒めるときにも
叱るときにも使える
ラベリングは、教育や指導でも活用されています。
「あなたは国語が得意だね」とラベリングすれば、国語の成績が上がる可能性が高くなりますし、上司が部下に「君は仕事が早いね」とラベリングすれば、部下はさらに早く仕事をこなそうと思うものです。
つまり、ポジティブなラベリングをすればポジティブな行動をさせることが期待できます。反面、自分の考えとは相反するラベリングをされれば、生きにくさ、あるいは呪縛のような存在にもなり得ることになります。