駅馬車を運行したウェルズとファーゴの2人組も同じ。この駅馬車会社は、その後、時代の変化に適応させて仕事を変化させ、現在のウェルズ・ファーゴ銀行になった。
最高の成功者が、大陸横断鉄道を作ったリーランド・スタンフォード(スタンフォード大学の創始者)。この大学は、21世紀のゴールドラッシュであるIT革命を実現した。
日本の新NISAブームは、カリフォルニア・ゴールドラッシュに比べれば、ずっと小さいものだが、基本的なメカニズムは同じだ。
まず、これで得をしているのは、手数料を稼ぐ金融機関だ。それに対して、広告につられて新NISAに投資をしている人たちは、場合によっては大事な資産を失うだろう。
人々がある方向に一斉に走り出した時、走り出した人たちのほとんどは犠牲者になる。そして、その人たちをうまく利用した人が、つまり「採掘者を掘った人」が成功者になる。
バブルに乗ろうとした人々の悲劇
原野商法の犠牲者
日本で1980年代に生じたバブルは、本格的なバブルだった。そして、多くの犠牲者を生み出した。その半面、これで成功した人は誰だったろうかと考えてみると、誰も見当たらないのが哀れなところだ。
この時、多くの人が、株式投資に熱中した。まとまった資金を持っている人は、土地を購入した。土地は必ず値上がりすると、信じていたからだ。
と言うより、不動産業者の宣伝でそう信じこまされた。よく考えてみれば、日本の人口は将来減少するのだから、土地が不足するはずはない。それにもかかわらず、土地は必ず値上がりすると信じこまされた。そして、企業は大量の土地を持っているので、含み益が巨額になったとして、株価が上昇した。
この頃、「原野商法」というものが横行した。「この土地は別荘地なので、将来絶対値上がりします」として、原野を売却する会社が多数生まれたのだ。
多くの人たちが、それにつられて別荘地を買った。そして、その犠牲になった。私の友人や知人に、何人もいる。