答えは(2)になります。(3)は「セット」で「エ」の発音なので、除外にしても、(1)と(2)は日本語発音からすれば、どちらも「サット」と「ラブ」で「ア」の音になり、迷いどころです。しかし、(1)が「/a/」の音で、「ア」と「エ」の間の音にあたり、(2)は「/?/」で喉の奥にこもった強く短い「ア」の音で、これが「cut」に共通しています。受験英語の頻出問題ですよね。
日本語だと同じ「ア」になってしまうのに「/a/」とか「/?/」なんて、英語の発音は難しい……。そう、ネイティブの「スタンダード」な英語を求めれば、それは難しい。
しかし、なんと、どちらの発音で「She used a knife to cut the rope.」を言っても理解が損なわれることはありません。世界の実践英語ではネイティブでもノン・ネイティブでも、どちらで発音しても問題ないのです。
このように母音に関しては「sit」や「seat」など、音が長いか短いかは重要である一方、日本語読みして同じような音の違いは理解に支障がないことが知られています(注7)。
さらに、「(1)depend(2)editor(3)capital」の3つの中からアクセント(強勢)位置が違う単語を選ぶ問題。こちらは第2音節にアクセントがある(1)が正解になります。
しかし、アクセントの位置がスタンダードからずれていても、理解を損ねることはありません。そればかりかアクセントの位置をスタンダードから全くずらさないように固執しすぎると、理解がしにくくなってしまいます(注8)。文脈によって、アクセントが変わってくるような場合に柔軟に対応できなくなってしまうからです。
こうした点は、発音だけでなく、文法的なことにも関係しています。「He watchs TV every evening.」は、現在形の三人称単数形を正しく作らなければならないので、「watchs」ではなく「watches」としなければなりません。
注8 Jenkins J(2005) “Teaching pronunciation for English as a Lingua Franca: A sociopolitical perspective.”