また、半導体製造装置といった「ドラクエ型」で対処できるはずだった製品の分野でも、オランダ・ASMLの露光装置のように、世界中の研究機関や顧客と協働開発をするというオープンイノベーションを徹底した会社に大きく水をあけられてしまっているところもあります。
この、人類全体が連動するオープンイノベーションとの接続というあり方はAI分野などではさらに顕著になっており、常に世界中の誰かが発表する新しいアイデアが共有され続け、ほんの1週間前とも状況が全然違ってしまうようなイノベーションの連鎖の中で戦っていくことが必要となっています。
日本の経済における
3つのポイント
この「オープンイノベーションへの対応」という話は、ドラクエ型のゲームしかやったことがない人でも、昔は小学校のクラスメートか公式攻略本ぐらいしか情報源がなかったのが、今はゲームが発売されるやネット上で続々と“攻略情報”が更新され、その「集合知」をいかに活用するかが重要になっている、という違いから想像できる人も多いと思います。
さて、ここまでの話で、経済・経営分野の話に普段ご興味のない人でもイメージしやすいゲームの例を導入することで言いたかったことは3つあります。
日本のネット右翼さんの一部が信じているように、「日本の技術力は世界一ィィ!できないことはないのだァ!」と無邪気に誇っていられる状況では徐々になくなってきているということ
……が1つ目です。
そして2つ目のポイントは、そういった最先端技術開発でうまく日本が活躍できなくなってきている原因として、
人類社会全体が密に繋がってどんどん知恵が追加され、たった1週間前と比べてすら全然知見が違ってしまうような競争になり、内輪で固まって密度高く延々地道にやっていれば勝てる戦いではなくなってしまったこと
……という「オープンイノベーション型」のあり方への対応力不足という構造的問題がある、ということです。
これが、努力と根性で“はぐれメタル”を狩っていればなんとかなった「ドラクエ型」の世界から、広い視野で戦場全体を見回し、一瞬~数秒で判断を変え続けることが必要な「FPS型」の世界になってしまった、ということですね。
これは困りましたね。なんとかしなくては。