最初に外国人や外国企業が土地を購入することについては、海外でも一定の規制はありますが、原則は自由とされています。一番根本的な協定として、WTOの加盟国では「内外無差別の原則」が求められていて、外国人であっても不動産所有や不動産取引は認められるべきだとされています。一方で安全保障と住宅政策による例外規定も認められていて、各国はこの点での規制を取り入れています。
たとえば、アメリカでは軍事施設や空港、重要施設の周辺エリアでは外国人投資に事前審査が義務付けられていて、リスクがある場合は大統領令で取引を停止できます。
住宅政策の規制例では、カナダが住宅価格の上昇を理由に2023年から2年間、カナダ人とカナダ企業以外の住宅購入を禁止した例があります。
また、恒常的に不動産価格が高騰しているシンガポールでは、外国人がコンドミニアムを購入する際に60%の高額な加算印紙税を課すという実質的な二重価格を導入した例もあります。
日本の問題とされるのは、安全保障上の規制エリアが狭いことと、それ以外の土地や住宅取得について、外国人に対する制限がほぼないことだとされます。ではこのままだとどのような問題が発生するのでしょうか?3つの視点で解説したいと思います。
1. 不動産価格の高騰
この問題に関するネットの反応を見ると、ネット民が一番不満に感じているのが不動産価格の高騰です。外国人がマンションや観光地の土地を買い漁っていることで、そういった人気のある土地がもはや日本人が購入できない価格に高騰してしまったことが問題視されているようです。

その象徴ともいえるのが北海道のニセコで、土地の価格が高騰しただけでなく、そこにやってくる外国人の所得水準にあわせて物価まで上昇してしまいました。ラーメンや牛丼の価格が2000円と、一般的な日本人の金銭感覚では生活できない町になってしまったのです。
いずれこれと同じことが京都や軽井沢、浅草に起きてもおかしくないのですが、それを止める手立てがないというのがインバウンドの多い地域を悩ませています。