住宅価格も日本人が手に入らない水準に上昇しています。2024年の新築マンション価格は東京23区で1億1181万円、首都圏全体でも7820万円でした。実は2023年と比べると少しだけ下がっているのですが、とはいえ実質的には2年連続して過去最高水準と言えます。
むしろ、より問題なのは住宅価格高騰が徐々に周辺部へと拡大していることで、2024年は東京都下、神奈川、埼玉、千葉いずれも2023年を大きく上回り過去最高水準に到達しています。
では仮に日本でもシンガポールやカナダのように外国人のマンション購入に制限をかけたら、首都圏のマンション価格は手が届く水準に下がるのでしょうか?それは難しいようです。
というのも、そもそも都心でのマンション価格の高騰は供給側にも原因があるコストプッシュインフレの様相があるからです。大きな要因のひとつに近年の建設コストの上昇があります。マンションの場合は便利な都心の駅近で、便利な設備が整った大規模マンションに住みたいという需要は年々増えている一方で、それに見合った開発ができる土地が都心ではもう見当たらなくなってきています。
そのような事情からマンション価格の上昇が大宮、横浜、立川といった都心の外側のターミナルへと波及しているのが現状です。もちろん外国人が投資目的で購入することが価格を上昇させている側面もあるのですが、その理由は本国の不動産よりも賃貸収入が高いということが理由です。
京都や浅草はどうでしょうか?こちらは外国人が購入するかどうかに関係なく、インバウンドの外国人は無制限にやってきます。経済価値でみれば都心5区のマンション以上に経済価値が高いわけで、購入制限に関係なく地価は今後も上がっていくでしょう。
結局のところバブルではなく実需で不動産取引価格も、住宅の賃貸価格も決まっているわけで、外国人の購入をたとえ禁止したからといって不動産価格が以前の水準に戻ることは決してないと考えられます。