大型連休が明け、再び日常が始まる季節。なんとなく気分が乗らず、やる気が出ない――そんな「五月病」的な状態に陥っている人は少なくないだろう。この気だるさは、単なる怠慢ではない。アメリカでベストセラーとなった『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』は、現代人が抱える「モヤモヤ」の正体に鋭く切り込んでいる。著者のブラッド・スタルバーグは、マッキンゼー出身で、現在はウェルビーイング研究の第一人者として活躍している。本書が明かすのは、思考や行動のクセが、私たちの心を知らぬ間にすり減らし、日々の満足感を奪っているということだ。同じように忙しいのに、「いつも余裕がある人」と「すぐに回らなくなる人」がいるのはなぜか。本稿ではその違いを明らかにし、「仕事が早い人」が実践しているシンプルで効果的な行動習慣を紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「リズムの崩れ」がストレスの原因
ゴールデンウィークが終わり、再び日常に戻る時期。頭では「やらなきゃ」とわかっていても、体が重く、気持ちがついてこない――そんな感覚に襲われている人も少なくないだろう。
いわゆる「五月病」とも言われるこの時期の不調。実は、ただの気分の問題ではなく、「日常のリズム」が乱れていることが原因かもしれない。
ウェルビーイング研究の第一人者であるブラッド・スタルバーグは、本書の中で次のように指摘している。
日々のストレスの多くは、やるべきことや管理すべきことが多すぎるせいで生じる。このことに気づかない人が多い。
――『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より
連休中は予定も不規則、生活リズムもバラバラ。そんな日々のあとに、いきなりフルスピードで日常に戻ろうとすると、心も体も戸惑ってしまう。
「仕事しなきゃ」と思っていても、どこから手をつければいいのかわからない。その迷いが、さらに疲労感やストレスを生む悪循環につながるのだ。
「迷わない仕組み」を自分の中につくる
では、この「うまく回らない日々」から抜け出すにはどうすればいいのだろうか?
スタルバーグは、エネルギーを浪費せずに行動を起こす重要性を強調している。
ルーティンがあると、1日の流れが確実に予測できるし、混乱のさなかでも秩序が保たれているような感覚になる。さらに、自動的に行動するようにもなる。自分を奮い立たせたり、次に何をすべきかを考えたりといった余計なエネルギーを使わなくても、淡々と物事に取りかかることができる。
――『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より
つまり、やる気に頼らずに「淡々とこなせる人」は、「自分が行動を開始しやすいパターン」を知っているというわけだ。
たとえば、
・朝起きたらコーヒーを飲みながらタスクを書き出す。
・午前中は静かな場所で作業し、午後は打ち合わせに集中する。
・1日の終わりに、翌日の予定を見直す。
こうしたリズムがあるだけで、「何から始めようか」といった迷いがなくなり、自然と体が動き始める。
一方、毎日ゼロから段取りを考えていると、それだけで脳が疲弊し、行動そのものが億劫になってしまう。
サクサクと仕事を進められる人は、意志の強さで乗り切っているのではない。迷わず動くための「仕組み」を、自分の内側にきちんと整えているのだ。
※本稿は『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』の内容を一部抜粋・編集したものです。