
『あんぱん』の放送がスタートして2カ月目。戦争がはじまって、まず豪(細田佳央太)が出征していった。彼にほのかな恋心を抱いていた蘭子(河合優実)との哀しい別れがあった。戦争を描く朝ドラは定番化しているが、『あんぱん』では戦後80年のいま、これまで以上にしっかり戦争を描くという。脚本家・中園ミホに続き、NHK制作統括の倉崎憲チーフプロデューサーが、これから6月にかけての『あんぱん』の見どころを語る。(聞き手・構成/ライター 木俣 冬)
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想定外のリアクションも
――ここまでの放送の反響はいかがですか(取材は4月下旬に行われた)。
〈倉崎憲さん〉初回の視聴率はNHKプラスの全ドラマ史上最高値だったうえ、ご当地の高知県の総合視聴率が41.6%でした。数字面も含めてまず最高のスタートダッシュができたと思います。
毎朝、#朝ドラあんぱん などを検索していると、我々がこう見てもらえるだろうと想定していること以外のリアクションもあり、それらを興味深く感じています。
ありがたいのは、『あんぱん』では生きる喜びを描くうえで悲しみをちゃんと描いていることを視聴者の方々がしっかり受け取ってくれていることです。第1週、のぶのお父さん(加瀬亮)が亡くなるエピソードでは、自分も親を亡くした後、しばらく親の姿を探してしまったという体験があるので、のぶの気持ちがよくわかるという感想もたくさんいただきました。
想定外だったのは、登美子(松嶋菜々子)のことを毒親ととらえる視聴者のかたが少なくないことです。子どもを置いて再婚してしまうのは、当時の事情から考えると仕方ないのですが、彼女をヒール役のように捉える方が多くて。
でもそれだけ物語に感情移入してくださっているのだと受け止めています。1億2000万人の人が見ていたら、いろいろな捉え方があるのは当たり前のことなのだと日々感じています。
