“朝ドラらしからぬ”
タイトルバックの制作意図
――改めて、話題になっているタイトルバック映像と主題歌『賜物』についてコンセプトをお聞かせください。
今回のタイトルバックは、外部のクリエイティブディレクターさん何人かにお声掛けして、コンペを行いました。そこで、涌井嶺さんのコンセプト案が演出陣含めとてもいいなと思いました。それが戦前から戦後、そして現代へと激動の時代をのぶというか今田美桜さんが一本の光で導かれて駆け巡るというものでした。
涌井さんがXでこのようなコメントを出しています。
『アンパンマン』が有名なやなせさんですが、他にも多くの作品があります。夢に満ちた、メルヘンで鮮やかな色彩の絵画たちは見る人の心を躍らせ、励ましてくれます。その色彩に僕も心を打たれました。
「のぶ」としてでなく、現代の姿で登場する今田美桜さんは視聴者の皆さんの代表であり、二人が生み出し、二人の色で染まった世界の案内役です。ぜひRADWIMPSさんの素晴らしい楽曲とともに楽しんでいただければ幸いです。”
このように、あの一本の光はのぶが嵩を導いているようにも見えるし、逆にのぶが嵩による一本の光に導かれているようにも見えると思っています。
最終的にアンパンマンのシルエットにつながっていくのは、この数十年の経験が、最終的に『アンパンマン』をはじめとして、嵩のいろいろな作品につながっていくことを、半年間放送を見ていただいた方に感じていただければ。この思いが『賜物』の歌詞に反映されています。
画面がコマ割りのようになっていたり、鉛筆が出てきたり、見れば見るほど発見があります。
いろいろなご意見も拝見しています。ただ、朝ドラっぽくないと思うかたがいるのは想定内で、今回はあえていままでにないものに挑戦しています。主題歌も含め、わかりやすいものが全ていいわけじゃないと僕は思っています。
朝ドラは、半年間、毎朝月曜から金曜まで放送されるものですから、第1週に見た時と、例えば第5週、第10週で見た時、最終週に見た時と、受け取り方が変わっていくといいなと。全26週見終わった後に、視聴者の皆さんにどう捉えていただけるかが大事だと思っています。