社会全体が貧しい時代は子どもたちにプレゼントするのは「愛」でしたが、物があふれている現代は、モノ以外の「愛」を与えることで、欲望に流されない強い心を育てなければならなくなっています。
名家と呼ばれる家庭ほど
ホイホイと物を買い与えない
私はこれまで、資産家あるいは名家として長く続いている家庭のお子さんたちが、質素に育てられている例をよく見てきました。欲しいものを買い与える経済力があっても欲しがるものをホイホイ与えるのではなく、我慢させることで忍耐力や意志力を養う。だからこそ家を存続することができたのでしょう。
逆に、急にお金持ちになったいわゆる新興の「富裕層」と言われるような家庭で、子どもにも贅沢をさせ、ゲームやおもちゃ、ブランド物の衣服や高価なお菓子をたっぷり与えている例も多いようです。

坂東眞理子 著
幼い時から一流のものに囲まれて育つと「違いのわかる」感性が育つと信じている人もいますが、それ以前に自分の欲望を我慢できる意志や習慣を身に付けさせることが必要だと私は思います。
その子の人生を豊かにする基本的な生活習慣の1つが、欲しいものをすぐに手に入れるのではなく、約束した期限まで待つ、ということです。物質的な欲望をコントロールする力は、真の豊かさに不可欠です。「大した金額でないのに買ってあげると孫が喜んでくれるからうれしい」「プレゼントを喜んでくれるのは幼い時だけ」という気持ちはわかりますが、自分の買い与えたいという欲望を祖父母自身も我慢しましょう。
一方で、親世代が子どもの欲しがるものをどんどん買い与えている場合もあります。
祖父母の価値観と違っている場合、悩むところですが、自分の考えを伝えるにしても、強要はけんかになります。強要はせず、一意見として上手に伝えるようにしてください。