「かくあるべし」思考は、世間体を気にしすぎていることが原因で発生するのではないでしょうか。

「かくあるべし」=「かっこ悪いからやめよう」という思考は、行動範囲を狭めてしまいます。

「ひとりになってしまったのだから、暗くひっそり生きていくんだ」「新しい相手なんて考えたら非常識だと思われる」そんな理由で、外出をせず、他者との会話を避けていては、楽しい後半戦を手にする可能性すらなくなってしまいます。

 柔軟に受け止めることこそが、うつのリスクを下げる鍵となります。

今を楽しむために必要な
「やめること」と「信じること」

第4条 今を楽しむ

 今は元気だとしても、突然、脳梗塞(こうそく)になって、明日から要介護になったりすることもあります。転んで骨を折ったら、若い頃と違って治りが悪く、ずっと歩行が困難なままということもあります。

 高齢者は「5年後には」と思っていても、その5年後には、体の状況がかんばしくない可能性があるということを、念頭に置いておかなければなりません。ですから、今を楽しむのです。

 今楽しめることは今楽しんでおかないと、あとで楽しめなくなることがある。そういう覚悟が必要です。

 若い頃であれば「今は我慢して頑張れば、あとからいいことがある」と思う人のほうが、将来成功することも多いでしょう。

 でも、私たちは、もうそうじゃないのです。今楽しんでおかないと損――そのようにマインド・リセットしましょう。

第5条 人と比べない

 自分はあの人と比べて不幸だ。負けている。あるいは、幸せだから勝っている。などと、人と比較して一喜一憂するのはやめましょう。高齢者の違いとは、「早いか遅いか」それだけです。

第6条 自分で答えを出す

 私たちは豊かな人生経験を積んできました。もちろん、多くの失敗も重ねてきました。その積み重ねがいわゆる「肌感覚」を磨いてきたのです。自分では自覚しにくいかもしれませんが、これまでの経験で、肌感覚が研ぎ澄まされてきたわけです。その優れた肌感覚にのっとって出した答えは正しいと信じていいのです。

 たとえば、あなたに新しい恋人ができたとしましょう。本人同士は結婚したいけれど「財産目当てだろう」と子供たちや友人が反対する。 でも、恋人がどのような人なのか、本当に愛し合っているのか、それとも実は財産目当てなのか。そ