一方、今期26年3月期(25年度)業績見通しについては、売上高48兆5000億円(前期比1%増)、営業利益3兆8000億円(同21%減)、当期純利益3兆1000億円(同35%減)を見込んだ。

 これについてトヨタは、米国のトランプ関税の影響として、4月、5月分のみの減益影響を織り込み、1800億円の営業減益要因としたと説明した。加えて、想定為替レートは25年3月期と比べて円高となる1ドル=145円、1ユーロ=160円とした。トヨタはドルが1円円高になると営業利益を約500億円押し下げる効果がある。

 約20%の営業減益という厳しい見立てだが、それでも「これをスタート地点としてさらなる改善で積み上げていく。足場固めの成果を足元から取り込みつつ、中長期視点での総合投資を継続し、経営基盤の強化と将来の収益の柱を育成していく計画だ」(宮崎洋一副社長CFO)と、将来に向けての自信をのぞかせた。

 トヨタ決算会見での質疑応答で、やはり多数を占めたのがトランプ関税による影響についてだった。

 トヨタにとって米国は最大の市場で収益の源泉なだけに、関税問題が大きな経営課題であることは間違いない。トヨタは24年度に米国で233万台を販売しており、これはトヨタの世界販売のおよそ2割を占める。トヨタの強みであるハイブリッド車(HEV)を中心とする電動車の販売も、米国が全体の2割を占めている。

 佐藤社長は関税影響について問われ、「政府間交渉などの最中であり、流動的で先を見通すのは難しい。トヨタとしては軸をぶらさずに、ジタバタせず、短期的、中長期的な対応でやれることをやっていく」ことを強調した。

 さらに、「短期的にはオペレーションの工夫で対応する。また、トヨタはそれぞれの地域に根差した企業活動をするという『町いちばん』という考え方を持っており、中長期ではさらなる現地化も含めて、この軸をぶらさずに進めていく」と述べた。

 その一方で、佐藤社長は「国内サプライチェーンを守りながら国内300万台生産体制もぶれずに堅持していく」という経営方針を明言した。