自分ごととは「当事者意識」のことです。

 エンゲージメントの高い組織は、メンバーの当事者意識が高いのも特徴です。そのために、選択できる環境が必要なのです。

 ただ、この選択も、何でも自由に選択できないといけないという意味ではありません。自由な裁量権がありすぎると、そこの責任が伴うので、今度はプレッシャーになってしまいます。

 いい塩梅の選択の自由が必要なのです。

(4)の「目標の設定が達成可能である」ことも重要な要素です。

 目標があることは大事なのですが、この目標が途方もなく高いとダメなんです。目標が「達成可能」というのがポイントです。

 先ほどの自分ごとともつながるのですが、目標が高すぎるともう自分ごとにはならないのです。「自分もがんばればできそうだ」と思えることです。

 高すぎる目標設定は、通常はモチベーションを下げるマイナス効果があります。

 といって低すぎる目標設定もNGです。たとえば、「もうこのままでできそう」という程度の目標もマイナス効果です。

 いい塩梅の目標設定は「いまの自分ではできないかもしれないけど、ちょっと助けを借りればギリギリできる範囲」です。

リーダーのチラ見せ「弱さ」が
メンバー同士の信頼を生むカギになる

 また、(5)の「弱さを共有できる環境」も、信頼感を生むために必要な要素です。

 日本の組織は、弱みを出しにくい特徴があります。

 でも、エンゲージメントが高い組織は弱みを共有できています。だから「助け合う文化」が生まれるんです。

 おもしろい実験があります。

 リーダーが部下に助けを求めるという実験です。

 すると、助けを求められた部下は、そのあとにほかのチームメンバーを助けるようになったのです。

 ちなみに、リーダーが助けを求めてきたらどうですか?「ちょっとこれ困っているんだけど」と言われたら。

 うれしくないでしょうか?

 そうなんです。リーダーが弱みを見せられれば、「自分も見せていいんだ」と思いますよね。

 プラットフォール効果をご存じでしょうか?

 完璧な人よりも、ちょっとヘマをする人のほうが魅力が上がるという効果です。ただ、ヘマばっかりしていたら魅力は下がります。なので、ちゃんとしているけど、時として弱さを見せるっていうのがいいバランスです。