なお、アイデア創出に集合知を活用するケースもあります。外部知見からアイデアを集めることは無意味とは思いませんが、アイデア収集よりもその後のステップのほうが実際は重要でしょう。
実際のところアイデアは、その深さ、独自の視点や課題解決への強度など、発案者の原体験に基づいているとよいでしょう。
新規事業は、「なにをやるかよりも、誰がやるかが重要」です。
起業の場合、意思決定者として創業者・オーナーが直接ひもづいています。一方で社内の新規事業では、誰がオーナーとなっているかはまちまちです。発案者であったり、関連事業の担当役員であったり、新規事業の専門役員などいろんなケースがあるでしょう。主体としての一貫性を保ち、機動的に執行ができ、原体験に基づいたアイデアがある。そういった要素を持った新規事業オーナーであれば、成功確率を高めるでしょう。実際にアイデアよりも、担当者しだいだと感じます。
主体的に意思決定していくことには、大きな責任が伴います。
新規事業を成功に導くのは
どんな担当者なのか
そもそも成功確率が高いとはいえない新規事業について、その責任を一身に負って意思決定するのは大変なことです。通常の事業での責任とはリスクテイクの感覚は異なります、なにしろ失敗確率が高いためです。
新規事業担当者も起業家と同様に、リスクテイクする気概や意思が必要です。新規事業の担当者が意思決定の本当の主体者となり得るのであれば、意思決定構造の難しさは社内新規事業にはつきまといますが、成功確率が上がり、失敗も学びのあるよい失敗になるでしょう。
不思議なもので、同じアイデアや構想から出発しても、実行していく人間によって事業の性質や未来の姿は大きく異なります。
どうしても事業や組織は、自然と、経営者の性質やコンテキストを多分に含むものになっていくものです。戦略や戦術が似通っていたとしても、会社としては違うものになります。だからこそ、誰がやるかは大事なのです。それは一緒にやっていくメンバーにも言えることですし、とくに起業当時のメンバー構成が重要であることが分かります。