日本財団の「家庭の経済格差と子どもの認知能力・非認知能力格差の関係分析――2.5万人のビッグデータから見えてきたもの――」(2018年1月)によれば、経済格差による国語、数学・算数の学力の差は10歳頃から現れる。
「7~9歳については生活保護世帯と非貧困世帯で統計的に有意な学力差はないが、10歳以降ではすべて統計的に有意な差が確認される」というのだ。
その上、「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」(国立大学法人お茶の水女子大学、平成30年3月30日)によれば、国語と算数の学力を世帯収入ごとに比較したところ、いずれの教科においても、おおむね世帯収入が高いほど学力が高くなる傾向が見られたという。
東京大学の学生で
奨学金を受給しているのは……
さらに、保護者の最終学歴が高いほど、子どもの学力も高くなる傾向が示された。
「2021年度(第71回)学生生活実態調査結果報告書(注2)」(東京大学学生委員会 学生生活調査WG)を見ると、東京大学の学生は比較的裕福な家庭出身であることがよくわかる。
出身校は「中高一貫型の私立学校」が44.1%と最も大きな割合を占めている。さらに世帯収入に関しては、「わからない」を除けば「1250万円以上」が最も多く(18.6%)、950万円以上だけで4割を超える。逆に450万円未満は10.8%にとどまっている。
また、奨学金を受給していると回答した割合が17.4%、受給していないと回答したのが82.6%と、全国平均に比べ著しく奨学金の受給率が低いのも特徴的だ。実家からの金銭的援助を受けられる学生が多いのだろう。
授業料の負担は「家庭からの仕送り」が実に88.4%と9割近く。奨学金と回答したのはわずかに6.3%である。この結果から、高い学力を有する学生は、親の経済力が高いという事実が見えてくる。
奨学金返済の負担の大きさは、もはや社会問題となっている。