私自身、大学では実家の経済格差を嫌というほど感じた。まず、入学金と前期の授業料を一括で納めなければ入学できないという問題にぶち当たる。さらに周囲と一番大きく感じた格差は、奨学金を借りる必要があるかどうか、実家から仕送りを受けられるかどうかだろう。
家庭からの援助が受けられない
学生の負担
2020年度の大学(昼間部)の仕送り金額の平均は、年間114万4700円。月額にすると9万5391円である。
私は親からの援助は一切なしが当たり前だったため、世の大学生は平均すると月9万円強の援助があるという事実は衝撃的だった。よく、「子どもの教育費が心配で……」「大学まで行かせてやれるか……」といった親の声を聞くが、それは親が学費を払う、または一部援助する前提であり、それが「一般的な感覚」なのだと思う。
一方で、この数字はあくまで「平均値」。この金額を大きく上回る援助がある学生がいるのは当然のこと、この平均値を大きく下げることに貢献している私のような家庭からの仕送り「0」の学生もいる。さらには仕送りにはマイナスの指標が存在し、実家から学生、ではなく、学生から実家に仕送りしなければならない家庭だってある。

同じく、学生生活費の内訳を見ると、奨学金が37万3200円(月額3万1100円)、アルバイトが36万6500円(月額3万541円)であることを見ても、大学生の収入は実家からの仕送りが最も大きい割合を占めていることがわかる。
実家からの仕送りに頼れない学生は、奨学金やアルバイトでその不足分を補うことになるが、学生生活を送る以上、アルバイトをできる時間は限られており、また扶養の範囲内で働かなければ所得税が発生する問題もあることから、アルバイト収入を増やすにも限界があり、結果として奨学金を増額せざるを得ない。
そして奨学金を多く借りるほど、当然将来の返済額は増大する。社会人になったとき、奨学金の返済がない学生と、数百万円の返済がある学生とでは、スタートラインが大きく異なるのは言うまでもない。
大学進学は貧困の連鎖を断ち切るために有効な選択肢だが、家庭からの援助が得られない学生の負担はあまりに大きい。