まずは(1)「テーマパークにおける『空間作り』」だ。テーマパークとは、「特定のテーマによる非日常的な空間の創造を目的として、施設・運営がそのテーマに基づいて統一的かつ排他的に行われているアミューズメント・パーク」のことだ。
テーマパークが特徴的だったのは、空間のすべてを統一的にコントロールする、その手法が新しかったからだ。社会学や都市論の方面では、「ディズニーランド化」などの表現でこうした空間の変化をいうときもある。
私が主張したいのは、こうした手法が、テーマパークを起点として空間作りの1つのパターンとして広がってきた、ということ。「ニセコ化」は、テーマパークによって生まれた空間作りの手法をそのまま引き継いでいる。まず、テーマパークがあったのだ。
しかし、「ニセコ化」がそのまま「テーマパーク化」なのかといわれると、必ずしもそうではない。「ニセコ化」は、「テーマパーク」が持っていた「空間作りの方法論」は受け継ぎつつ、ある部分を強めている。それが、(2)で挙げた「マーケティング」手法の深化である。
マーケティング4.0の時代
「深くハマらせる」手法とは
そもそも、マーケティングとはなにか。
それは、ある商品を顧客に買わせるための方法・戦略づくりのことを示している。マーケティングにはさまざまな方法があって、まだ世界にモノが十分にないときには、そのモノが売られていることを単にアピールすればいいし、モノが増えてくれば、売ろうとしているものがどのような特徴を持っているのか、他社製品との違いを明らかにすればよい。なんにせよ、時代の変化に合わせた、そのモノを顧客に買わせるための戦略作りをマーケティングという。
マーケティングの神様といわれるフィリップ・コトラーは2010年代を「マーケティング4.0」の時代だとしている。この時代においては、マーケティングと「ブランディング」が密接に関係を持つ。