そして、ニセコ化は、この「マーケティング4.0」時代に代表される、マーケティング手法の深化と、テーマパークの空間作りが合わさったところに誕生しているのだ。
ディズニーランドの空間の作り方は
理念を叶えるための「手段」
ざっくりしたイメージでいえば、「テーマパークの空間作り」+「マーケティングのさらなる強化」=「ニセコ化」というイメージだ。
こう書くと、例えばディズニーランドなどは「マーケティングをしていたからこそ、あそこまで人を惹きつける場所になったのではないか?」という意見がでてきそうだ。もちろん、その通りだと思う。ディズニーランドの成功の要因の1つは、それまでになかった「大人も子供も楽しめるエンターテイメント施設を作ること」にあって、それには巨大なニーズがあったから、その意味ではマーケティングは行われていただろう。
一方で、ディズニーランドの成り立ちを見ていると、それは、マーケティングというよりも、どちらかといえば、それを作り上げたウォルト・ディズニーという人間の「理念」や「思い」が先にあったことが見えてくる。そして、テーマパーク的な空間の作り方は、ウォルトにとって、その「理念」を叶えるための「手段」でしかなかった。
すこし議論を急ぎすぎたようだ。まずは、その「理念」とはどんなものだったか見ていこう。それは、一言でいえば、「外界から隔絶されたユートピアを作る」ということだ。
ウォルトに芽生えた自然への憎悪と
人工的なユートピアが生まれた理由
テーマパークが特徴的だったのは、その空間を統一的にコントロールしようとしたことに加えて、徹底的に「閉鎖的」な空間を作ろうとしたことにある。
有名な話だが、ディズニーランドの中からは、その外側が見えないようになっている。また、入口も一箇所に限定し、あらゆる場所から入れないようにすることで、そこが、外の世界からは隔絶された世界観だということを徹底的に強調した。