
ジャニーズ問題で話題になった、わいせつ目的で若者を手なずけることを意味する「性的グルーミング」。その入口は、子どもたちのすぐそばにあるという。犯罪心理学者の櫻井鼓氏が、具体的なシーンを例に加害者の手口を解説する。※本稿は、櫻井鼓『「だれにも言っちゃだめだよ」に従ってしまう子どもたち たくみに手なずける「ずるい言葉」』(WAVE出版)の一部を抜粋・編集したものです。
スピード感が求められる
現代のSNSがはらむリスク

【シーン(1) SNS(DM) 出身ってどこ?】
男 よろしくです!よかったら返信お願いします!
女の子 よろしくー、Aです!
男 横浜で学生やってます!Aちゃんは横浜来た頃ある?
女の子 何度かありますー
男 へー。Aちゃんは出身ってどこ?
みなさん、このやりとり、どんなふうに感じますか?こんな軽いノリで始まること、SNSだったらありますよね。どんなふうに感じるもなにも、よくあるやりとりで、こんなところでいちいち引っかかっていられないって思う人もいるでしょう。
SNSだからこそ、ノリのよさやスピード感が大事なのだと思います。そうでなければ、やりとりから置いていかれてしまいそうですよね。
スピード感と言えば、これまでSNSでは、加工した画像や動画をアップするということが主流でしたよね。でも最近は、ある写真共有アプリなどでも見られるとおり、「今」や「そのまま」を送り合うことが若者の間で人気です。
こういったやりとりでは、「(画像を加工するから)しばらく待って!」というわけにいきません。瞬時に、実際の姿に近い画像や動画のやりとりをする、よりスピード感が必要な流行に変わってきていると言えるでしょう。
もちろん、そういったやりとりをすべて否定するわけではありません。
でも、あえてここでは、出会いの最初だからこそ、立ち止まって慎重になってみたいと思うのです。
初めての人と出会うことは、多少の緊張感をともなっています。入学式やクラス替え、入社式といった新たな出会いの場面では、不安やドキドキする気持ちをだれしも経験するのではないでしょうか。