「一般化された表現」の質問は危険

ここでお伝えしたいのは、「いつも」のような一般化された言葉を使った質問は、その人が本来していた仕事とは違う回答がでてくる可能性が高いということです。端的に言えば、相手は「自分がいつも仕事をしていると思っていること」を答えてくる可能性が高まります。

人の記憶には限界がありますから、この質問では相手の事実を引き出すことができないことが、よおく起きてしまうのです。

では、後者の質問だとどうでしょうか。この場合は、相手は事実を一つ一つ思い出すことになっていきます。そうすることによって、より事実に近い回答を引き出すことができるのです。

質問を「事実質問」に変換する

この質問Bの形式が、私がお伝えしている「事実質問」です。

例えば、「休みはいつも何してるの?」は、次のように聞き直してみると良いでしょう。

昨日の休みはどこに行きましたか?
昨日の休みは何をしていましたか?
昨日は誰と会っていましたか? ※

こうすることによって、相手の思い込みではなく、事実を引き出すことができるようになります。

ただ、質問の内容によっては、相手のプライベートに踏み込んでしまうため、答えづらいということもあるかもしれません。
特に※印をつけた3つ目の「誰と会っていましたか?」という質問は、人によっては答えたくない質問になるかもしれませんね。
その場合は、上の2つのような「答えやすい事実」をまず聞くのが上策です。

対話は、どちらかが質問し、相手がそれに答えることから始まります。
よい人間関係の基本には、よいコミュニケーションがあり、よいコミュニケーションの出発点には、良い質問があるのです。

(本記事は『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』に関する書き下ろし原稿です)