夕飯はヘルシーなサラダにしようと決心するや否や、携帯電話にメールが届きます。それは上司からで、1時間後に電話してもいいかという内容です。説明は一切なく、何か問題が起こったのかなんなのかもわかりません。それを受けて、頭がフル転しはじめます――いったいどんな用件だろう?重大な話に違いない。翌日まで待てないほどの悪い知らせとはなんだろう?ひょっとしてクビになるのだろうか?

 あるいは部署自体が解体され、全員解雇されるのだろうか?本来パニックになる理由はないはずですが、オンラインで仕事をしていると、定時に退社して今日の仕事は終わり、という明確なラインがなくなりがちなのでうんざりします。仕事が時間の制限もなく続き、プライベートの時間にまで侵食するのです。

不安感と暴食に関係するのは
「レプチン」というホルモン

 時計を見ます。1時間というのは大した時間ではありませんが、突然それが永遠のように感じられ、上司がいったいどんな用事で電話をかけてくるのか、ぐるぐると考え込んでしまいます。少なくとも夕飯を食べる時間はあるので、再びキッチンの戸棚に向かいますが、いまはヘルシーな食事にこだわっている場合ではないように感じます。

 そこでマカロニチーズと、ガーリックバターに浸したバゲット、おまけに、セール中につい買ってしまった冷凍ピザを用意します。あっという間に平らげてしまうと、そこでちょうど携帯電話がメッセージを受信しました。再び不安が渦巻きます。

 上司が電話を待っています。

 いったいどこで間違えたのでしょう。不健康な食事を選んでしまったことは自覚していますが、まるで脳が突然、理性的な判断力を失い、本能に支配されたかのような感覚でした。部分的には、純粋に都合がよかったというだけのことかもしれません。

 ヘルシーな食事を用意するより、ジャンクフードのほうが簡単で便利だったと、判断を正当化するでしょう。