男女で違う
レプチンの影響の受けやすさ

ウーマ・ナイド 著
レプチンが発見されてから程なくして、女性の血清レプチン濃度が男性に比べて著しく高い傾向にあることがわかりました。だいたい、3~4倍にも上ります。
女性は男性よりも体脂肪率が高くなりがちなので、脂肪組織の違いによるものと思われそうですが、実際は体重や体脂肪率の違いにかかわらず、同じ傾向が見られます。
また、女性の脳はレプチンの影響を受けやすく、肥満かつレプチン濃度が異常に高い状態で比べると、女性よりも男性のほうがレプチン抵抗性をもちやすいようです。
この差についてはいろいろな説があります――男性でも子どもと老人はレプチン濃度が女性のように高めになりがちなため、男性ホルモンが高いとレプチン濃度が下がるという説、男女で体組成が異なり、脂肪とひと口に言っても男性は内臓脂肪、女性は皮下脂肪がつきやすく、内臓脂肪はレプチン生成率が低いなどの説です。
いずれにせよ重要なのは、男性は女性と比べてもともとレプチン濃度が低い、あるいは脳がレプチン抵抗性をもちやすいために、レプチン関連の問題にさらされやすいということです。
この差のせいで、多くの研究結果に男女の違いが出たり、片方の性別だけに焦点を当てることを余儀なくされたりと、レプチン研究自体にも影響が出ています。しかし、たとえ男女でレプチンの影響度に差があるとしても、レプチンの基本的な役割や、精神状態との重要な関連性に違いはありません。ですから、性別にかかわらず、誰もがその影響について把握すべきなのです。