大谷翔平選手大谷翔平選手 Photo:Christopher Pasatieri/gettyimages

2023年に日本代表チームが優勝を収めたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。決勝前に大谷翔平選手がメンバーを鼓舞した言葉も大きな話題を呼んだ。臨済宗円覚寺派管長の横田南嶺氏が、チームを率いた栗山英樹監督に当時の様子を聞く。※本稿は、栗山英樹、横田南嶺『運を味方にする人の生き方』(致知出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

野球世界一の監督と管長
生きる世界が異なる2人

横田 本日は、わざわざ円覚寺にまでご足労いただき恐縮です。それにしても、栗山監督と私の対談というのは究極の「提灯に釣鐘(つりがね)」対談だなぁと(笑)。

栗山 「提灯に釣鐘」というのは?

横田 世界一になった監督はまさに釣鐘のように堂々としておられます。それに対して、こちらは世界の片隅で坐禅をしていただけの者ですから、ありふれた提灯のようなもの。不釣り合いこの上なく、まさに提灯と釣鐘が出会ったようなものです。

栗山 とんでもないです。僕は『致知』の誌面や円覚寺のYou Tube などでいつも横田管長(編集部注/管長とは、宗教団体における最高位の指導者の役職)のお話を拝見して勉強させていただいています。

横田 それはありがとうございます。私は野球に関しては全くの素人なんですけれど、対談に備えて栗山監督の本を読んだりWBCの試合映像を見たり、いろいろ勉強しました。そうしたら学ぶことが実に多い。

栗山 余計な時間を取らせてしまって、本当にすみません。僕も管長の本をほとんど読ませていただいていて、直接お会いしてお聞きしたいと思っていたことがたくさんあります。今日はそうした質問もどんどんさせていただきたいと楽しみにしてきました。どうぞよろしくお願いいたします。

横田 まず忘れないうちにご報告したいことがあるんです。2023年の5月に東京の学士会館というところで一休禅師をテーマにした「一休フォーラム」という学術フォーラムが行われました。一休禅師研究の第一人者である先生に基調講演をしていただいて、私もフォーラムの主催者である花園大学の総長を務めているものですから挨拶をいたしました。