連結営業収益に占める
運輸業の割合が低いJR四国

 以上が三島会社の大まかな歴史だ。これを踏まえてJR四国から見ていこう。2024年度の営業収益は対前年度3.6%増の552億円、営業損失は同14億円増の130億円、経常利益は同4.6%増の42億円、純利益は同6.4%減の33億円だった。

 セグメント別に見ると、運輸業の営業収益は296億円、連結営業収益に占める割合は53%だ。セグメント別営業収益は内部取引調整前の数字なので単純比較はできないが、非鉄道事業を開拓中のJR東日本(67%)、JR西日本(61%)より低い数字だ。

 ただ、運輸業に続く規模の、建築・電気工事業、塗装業からなる「建設業」(147億円)、車両整備、警備業など内部取引を中心とする「ビジネスサービス業」(97億円)は、運輸関連セグメントとも言える。

 非運輸セグメントでは、ホテル業が営業収益80億円、駅ビル・不動産業が64億円、飲食・物販業が63億円だ。ホテル業は四国4県及び姫路に計8館、駅ビル事業は高松、坂出、丸亀、松山、徳島の5駅にショッピングセンターを運営している。

 営業損益はホテル業が4億円の黒字、駅ビル・不動産業は6億円の赤字。修繕費の増加などを減益の要因としているが、過去7年の最高益は、ホテル業は2023年度の8億円、駅ビル・不動産業は2018年の6億円に過ぎず、他社の不動産事業のような収益源にはなっていない。

 前述のように三島会社は、鉄道事業の赤字を基金運用益で穴埋めするスキームであり、運輸業の140億円の営業損失を、基金運用益126億円と鉄道・運輸機構が発行した特別債券利息33億円で補っている形だ。ただ、この運用益は市中金利、利回りをはるかに上回る、国の支援があっての数字だ。