身を粉にして働く男が夢見る
“アメリカン・ドリーム”
アンドリューのように安定した都会の暮らしを捨てて、地方に移住するビジネスパーソンは決して少なくない。
毎日、同じことを繰り返すのは精神的にはラクだろう。
だが、あえてコンフォート(快適)ゾーンを広げてみよう。そうすると、どんなに予想外のことが起きても、労働環境が変化しても、戸惑わずに対応できる自信がつく。
続いて紹介する2人はそれを見事に実践した。
30代のブライアンは、2つ以上のフルタイムの仕事をかけ持ちする「オーバーエンプロイメント」だ。リモートワークを活用して3つのフルタイムの仕事をこなすが、雇用主はそのことを知らない。
「先行きが見えない社会で、いつ解雇されるかわからないから」
稼げるだけ稼いで、不動産投資、そしてソーシャルメディアからのパッシブインカム(不労所得)で暮らしていく。それが将来の構想である。
生活習慣ははっきり言って、めちゃくちゃだ。私生活の充実もないし、健康にも良くないし、大切な人との関係も育めていない。
この状態をいつまでも続ける気はないし、できるとも思っていない。「3年続けばいい」そうで、その後は、家族と静かな場所で暮らすつもりだと語っていた。そのために、いまは身を粉にして働き続けているのだ。
アメリカン・ドリームは、ビジネスエリートだけのものではない。問題も多いが、それでも、野心を持って頑張る人には誰にでもチャンスが開かれているのが、アメリカという国の特徴なのだ。
「いつかパン屋を開きたい」
夢を叶えて地元の人気店に
もうひとり、私の知り合いのジョージは、長年、レストランチェーン店に勤めケーキを作っていた。
エルサルバドル出身の彼は「いつかは自分のお店を持ちたい」という夢を抱き続け、仕事で得た資金を元手にして、現在は、私が暮らす山の上で小さなパン屋を経営している。
夢を実現した彼にとって、毎朝4時前に起きてパンを作ることは、まったく苦にならない。楽しくて仕方ないのだ。