考えようによっては
今は一次産業「大改革」の第一歩

 日本は国家全体の目標として、第一次から第二次、そして第三次へと産業構造を変えようとしてきました。その過程で、歴代自民党の「票数の確保」のために第一次産業を保護してきました。改革のための投資は積極的に行わず、高齢者による支配の下で、前近代的な農林水産業を営んできたのです。そして、これこそが現在の物価高においても大きな要因になっていると言えます。

 農政に関しては、あまりにも巨大な利権となっているので、若くて勢いがあるといっても、小泉氏一人では戦えないかもしれません。しかし、考えようによっては、今回日本人全体で農林水産業の関係者を守り、生産を増やすための努力をするチャンスが到来したとも言えます。そのためには、国民ももっと現状を勉強すべきだと思います。

 実は、国の古すぎる施策に反発し、民間レベルで国内の生産現場や市場を改革したり、それらを支援したりという動きはたくさんあります。小泉氏はそうした人々と連携し、改革を進めてほしいと私は考えます。

民間では盛り上がる改革の機運
ここまで来たスマート農業

 数ある動きの中から選別したいくつかの改革例を、わかりやすく紹介しましょう。まずは農業に関する企業・団体の取り組みです。

(1)トップリバー(長野県の企業)

 農業のスマート化を推し進め、水稲だけでなく野菜工場なども建設。次世代農家の育成をする研修所を運営しています。

(2)さかうえ(鹿児島県の企業)

 牛の放牧が中心の土地柄ですが、周囲の農家が手放したいという農地を酪農地に転換。他に野菜とデントコーンを植えて飼料にするなどして、アグリバレーの実現を構想しています。