メディアに取り上げられたことで
社員の自信や誇りにつながった

 ゴミに一礼をしてから作業に取りかかるのは、ゴミを選別・仕分けする輪之内リサイクルセンターの社員たちから始まった。その様子を見て、今度はゴミを収集・運搬する社員たちがゴミに一礼を始めた。

 収集・運搬する社員たちは、お客様のところでゴミを集めているから、それを見たお客様も最初はとても驚かれたようだ。「名晃の社員はいったい何をしているんだろう?」と奇異に思われたかもしれない。

 しかし、一礼を徹底して続けていると、しだいに「われわれの出したゴミに感謝してくれてありがとう」「われわれにまで敬意をあらわしてくれているようだ」という感謝の声が上がり始めた。

「何ですか、それ?」社員総スカンでも社長が押し切った「7文字のあいさつ」同書より転載

 この声を今度はメディアが聞きつけて、取材や撮影申し込みが入ってくるようになった。それがまたネットで流れて、それから名晃の知名度がどんどん上がってきたのだ。

 人は注目されたり、褒められると悪い気はしない。それが社員の自慢や誇りにつながり、刺激になったことは間違いないと思う。

ねぎらいの言葉や褒めたあとに
本当に注意したいことを言う

 昨今、モラル・ハラスメントやパワー・ハラスメントの影響で、社員を叱ることが難しくなっている。そのため「褒めて育てる」がスタンダードになっているようだが、私は社員に会えば必ずねぎらうようにしている。

 たとえば暑い日なら、「今日は暑かったね。大変だったね。ご苦労様」と声をかける。このひと言をかけるのとかけないのとでは大きな違いがある。社員にねぎらいの言葉をかけるのが自分の仕事だ、と思っているくらいだ。