また、本人が努力したときは必ず褒める。レポートの書き直しを命じて、再提出してきた社員に努力のあとが見えたときは、「よく頑張りましたね」と手放しで褒める。

 褒められて悪い気がする人はいない。特にうちの社員のように、人様に褒められることが少なかった子たちは、褒められると心を開いてくれるようになる。いったん心を開いてくれるようになれば、いろいろなことを話せるようになってくる。

 もちろん、仕事上で注意しなければいけない場合もある。そんなときは、まず褒めてから注意するようにしている。「あなたのこういうところはほんとうに良くなったね。すごいね」と褒めてから「しかし、これはどう思いますか?これはちょっとまずいんじゃないの?」とか「どうして、ここはできなかったのかな?」というように投げかける。

 これはまあ、年の功。今までの経験で、頭ごなしに注意するよりも、先に褒めてから注意したほうが素直に聞いてくれるということがわかっているからだ。

 私も最初の頃は経験不足で「どうしてこれができないの!」とはっきり指摘していたこともあった。しかし、それでは人は育たない。年を重ねれば、言い方もやわらかくなるし、伝え方がうまくなってくる。

 私の場合は全日本青少年育成アドバイザーの認定を受け、その活動の中で多数の青少年たちを見てきたことが大きい。反抗したり、反発する子たちとの接し方を学んできたからだ。