「あり得ない」「頭おかしい」「さすがにそれは……」「そんなのめちゃくちゃだ」と、すかさず飛んできそうな声を無視して、常識のリミッターを外して、とにかくみんなでアイデアを出しまくる。
人によっては「ちょっと!あと2ヵ月で提出しなきゃいけないんだけど……!今『空飛ぶピンクのゾウ』なんて話してる場合じゃないんだけど!」とパニックを起こしてしまうかもしれない。
だが、エヴァによれば、常識はずれの奇天烈なふざけた会話をするプロセスがあるからこそ、イノベーションが生まれる。
どんなに忙しくても、「くだらない会話」ができるスペースは必須なのだ。
たとえば、みんなで座って冗談を言い合っているときに「焼却炉の上にスキー場つくっちゃうとか?」と、誰かが言う。「いや、それはさすがにクレイジーすぎでしょ」と笑い合ってるうちに「ん?本当に?あり得なくはなくない?」と誰かがアイデアを拾う。
そんなふうにして、屋上をスキー場にする廃棄物発電所コペンヒル(コペンハーゲン)のような革新的なアイデアは生まれる。
誰のアイデアが採用されるかはわからない。20代のスタッフかもしれないし、インターン学生かもしれない。アイデアに年齢や経験値は関係ない。
まずは、制限をかけずにみんなでアイデアをぶち撒けてみて、そこから気になるアイデアをピックアップして、実現の可能性を探っていく。
社会に変革を起こすような画期的なイノベーションは、真面目な空気が漂う会議室からは生まれない。
自由な雰囲気の中で、楽しくバケツの中身をぶち撒けるように、クレイジーなアイデアを吐き出していく。イノベーションの原石はそんな「カジュアルな楽しい会話」にある。
何も考えていなかった青春時代に戻るように、腹を抱えて大笑いするくらいのテンションでアイデアをぶち撒けても良さそうだ。そして、ふざけてゲラゲラ笑いあう会話の中に光る「原石」を「拾う」のだ。