長時間にわたって話し込む必要はない。「壁打ち」のように軽くボールを打って反応を見るといった感覚だ。とにかく「軽い対話」という壁打ちを繰り返して、アイデアを叩いていく。
「ダメな企画」は
なるべく早くボツにすべき
この考え方はスタートアップだけではない。これまで複数の中小企業で家具や照明の製品開発を担ってきた女性シーラも、同じことを指摘する。
「企画がボツになるのは、できるだけ早い方がいい。その方が余計なコストを抑えられるし、時間の無駄もなくなるから。
いつかボツになる企画には、誰も時間もお金も費やしたくない。それよりも、みんな、うまくいく企画に時間もお金も集中させたい。だから、ダメな企画にはできるだけ早い段階で気がついて、早く捨ててしまった方がいいの」
シーラによれば、これは彼女だけの考え方ではなく、デンマークで一般的な考え方である。
製品開発の場合、早い段階で、セールス担当、デザイナー、製品開発担当、マーケティング担当らが同じ場に集まり、それぞれの立場から意見を言う。そして、数回にわたって「壁打ち」をする。
「○○が問題かもしれない」という誰かの発言に対して、他の人が「その問題はこんなふうにすれば解消できるはず」と、その場で解決策を提案することもある。
このように、初期段階で各担当者が同じ場に集まって意見を伝え合うことで、早急にエラーに気がつける。また、エラーに対する解決策を一緒に考えることもできる。
早い段階で、色んな立場の人を同じ場に集めて企画を叩き、エラーを洗い出す。そうすることで、いつか立ち行かなくなるダメな企画をずるずると引きずって膨大な時間、お金、エネルギーを無駄にするリスクを回避できる。
チームの時間、資金、エネルギーの無駄遣いをやめて、本当にかけるべきところにみんなのリソースを集中して投入できるようにしたい。
そのために、早い段階で、色んな立場の人と、軽い対話で「壁打ち」をするのだ。
イノベーションを起こすなら
「出だし」が肝心
「壁打ち」はとにかく早い段階でした方がいい。
建築業界でサステナビリティの視点からイノベーション推進に関わってきたエヴァの話は、含蓄に富んでいた。