要はビッグデータの処理の仕方次第で、信用金庫のように店主と頻繁に接触しなくても、ネット銀行ならスモールビジネスに対する信用情報を掌握できるかもしれないのです。
この視点から最近、ネット銀行の一部に法人口座の獲得に力を入れる銀行が生まれ始めました。その急先鋒のひとつが実は住信SBIネット銀行なのです。
実は私の周辺では最近、実質的なメインバンクを従来型の銀行から住信SBIネット銀行に切り替える動きが少なくありません。理由はもう新たに資金を借りる必要がない一方で、取引先への振込手数料がスマホだとメガバンクよりもずっと安いからです。
お金を振り込むにあたって、メガバンクだとATM経由で880円とられるような場合でも住信SBIネット銀行なら振込手数料は145円で、しかも銀行まで行かなくてもスマホで処理できます。借入ニーズがある会社を囲い込めれば、ネット銀行が貸出で大きく儲けることができるようになるという図式が成立しているのです。
現時点ではこの動き、まだ限定的な様子で、実際、ネット銀行でも法人口座数を開示している銀行はありません。
ただ外形的にみれば今回、ドコモと住信SBIネット銀行が資本でつながったということは、銀行業界全体で見て、スモールビジネス向け金融の業界地図にイノベーションが起きる前提条件は出そろったことになります。
そう考えると今回のドコモによる住信SBIネット銀行の子会社化は、携帯4社の銀行子会社が出揃ったというニュースではなく、ドコモが携帯4社の中で一歩、ないしは二歩先んじる状況になったと分析するほうが正しいように思います。