半グレ事情に詳しい警察関係者が言う。
「最近の半グレには、公然とSNSやYouTubeで活動している者たちも少なくありません。また、ヒップホップアーティストやラッパーとして、自らの過去の犯罪行為を売りに視聴数を稼いでいるケースもあります。
目立つために話を盛っている場合も多いでしょうが、中には実際の組織犯罪グループと通じて、大麻や違法薬物の売買、恐喝などを行っている連中がいることも判っています。そういう連中は、SNSで見せている表の顔と、裏の顔を上手く使い分けています。
また、SNSを通じて、そういった連中がさらに裏で繋がっていっている様子も窺えます。
警察では、こういったSNSでの影響力を持ちながら、裏で犯罪やグレーな活動に関わっている連中も、トクリュウの一部として位置付けて捜査を進めています」
マフィア化が進んでいるというのは、こういった意味においてである。
「ケツモチはヤクザ」が暗黙のルール
暴力団員と半グレ首謀者の関係が影響
「それでもケツモチを担えるのはヤクザだけです」
暴力団関係者の男は、半グレ集団やトクリュウがどれだけ台頭してきても、最後の最後には暴力団による力の裁定が物を言うと力説する。
「たしかに暴排条例の制定が進んで以降、ヤクザに代わって半グレ集団やトクリュウと呼ばれる連中が上手にシノギを行っているのは事実です。そういった連中が最新のテクノロジーを熟知しているのも、カネを持っているのも、また事実でしょう。
でも、だからこそ、暴力団はそういった連中を生かさず殺さずに使おうとしている。ヤクザが最も恐れているのは実のところ警察に捕まることだからです。
暴力団に対する警察の締付けが強くなったことや、裁判による判決が厳しくなったことで、ヤクザは捕まることを極端に避けるようになりました。鉄砲玉として敵対組織にカチコミを掛けて、出所後に幹部として迎えられるといった武勇伝は、今は昔のこと。
現在においては、どれだけ自らが直接的な関与をせず、多くの収益を得られるかが賢いヤクザの行動原理になっています。
そのため、ヤクザにとっては金稼ぎの上手い半グレやトクリュウたちは、自分たちの得意分野である暴力装置を使って守るに値する存在とも言えるのです。
盃事といった明確な関係性を持たない、半グレやトクリュウを資金源としても、捜査対象として結び付きにくいという考えもあります。