
SNSやマッチングアプリの匿名性と手軽さが、未成年者を犯罪や詐欺に巻き込むリスクを高めているという。トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の関与により増加するパパ活や、トー横キッズの犯罪の背後に浮かぶ日本社会が抱える問題とは?※本稿は、櫻井裕一・高野聖玄『匿名犯罪者―闇バイト、トクリュウ、サイバー攻撃』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。
なぜパパ活は増加する一方なのか
SNSの手軽さを逆手に取る犯罪が多発
パパ活が増加している背景には、SNSを介して「気軽に稼げる手段」として若者の間で広まったことと、コロナ禍の初期段階において、水商売や性風俗での仕事が制限され、その代替手段として使われたことが大きいと考えられる。
パパ活を巡っては、若年層の女性が経済的困窮から抜け出す手段としている実態がある一方で、彼女たちを搾取の対象とする男性や悪質な業者が関与する問題もある。
また、未成年が安易に参加することで犯罪被害に巻き込まれるケースや、個人情報を悪用した、詐欺、恐喝、ストーカー被害などに発展するリスクも当然ある。
また、パパ活を含めたマッチングアプリの普及は、男女の出会いや友人探しを手軽にした反面、それを悪用した詐欺や恐喝事件もたびたび引き起こしている。
アプリを通じて接触した相手を巧みに信用させ、高額な商品やサービスを購入させるデート商法の現代版や、男性利用者を狙った美人局も頻繁に発生している。
さらに、偽のプロフィールや写真を使って相手を信用させたうえで、金銭を騙し取る「ロマンス詐欺」や、アプリ内でやり取りした個人情報や写真を使った脅迫も起こっている。
これらの手口の共通点は、アプリが提供する匿名性と手軽さを利用して、被害者が警戒心を持ちにくい状況を作り出せるところにある。