歌舞伎町にトー横キッズが集まる理由の一つとしてよく指摘されるのが、家庭環境の不安定さだ。家庭内暴力や経済的困窮、家族との不和などが原因で、家庭が安らぎの場ではないと感じる若者たちが、逃げ場を求めて集まってきているとされる。

 特に、歌舞伎町は眠らない街と形容されるほど、夜間でも通りには多くの人たちが行き交う。街の性質上、匿名性が確保されやすいこともあって、そんな若者にとっては「隠れ家」のような役割を果たしているのだろう。

 こうした若者たちのネットワーク形成にも、SNSは大きな影響を及ぼしている。家出や路上生活をテーマにした投稿やハッシュタグが拡散されることで、同じような境遇にいる若者たちがさらに集まってくることに繋がっているからだ。

 トー横キッズの問題に対応する警察関係者の1人は、「大げさでなく全国から同じ境遇の未成年が集まってきているという感じだ。たとえ補導して自宅に返したとしても、すぐに戻ってきてしまうので、そういった若者に対する生活や更生の支援を厚くするなど、もっと根本的な解決策が必要だ」と指摘する。

 だが、そういった境遇の若者たちが集まっている状況は、悪意のある大人や犯罪グループにとっては、まさに付け入りやすい絶好の環境だとも言える。

 事実、トー横キッズを食い物にしている代表的な存在が、トクリュウなのである。先の警察関係者が言う。

「トー横キッズたちに対して、トクリュウとみられる連中が頻繁に接触していることは警察としても把握しています。そのため、トー横キッズたちに対して怪しい連中が声を掛けている場面などが確認されれば、すぐに職務質問に動きます。

 ただ、連中もそれはよく分かっているので、自分たちで直接接触するようなことは、ほとんどありません。トー横キッズたちのリーダー格になっているような若い男や、ホストやスカウトを通じて接触を図っているようです。