こうしたアプリの運営会社には、サービス内の監視体制が十分でなく、悪質なユーザーを検知する仕組みを設けていないところが少なくない。しかも個人情報の取り扱いについてきちんと説明がなされていないケースも多いため、悪意を持った人間にとっては好都合な環境だからだ。

未成年や中高年の被害が多発
警視庁が初のラブホテル一斉調査

 警察関係者はマッチングアプリを巡る最近の犯罪動向について、こう警鐘を鳴らす。

「マッチングアプリによって引き起こされるトラブルは、報道などで公になっているものよりはるかに多い。警察も監視を強めているが、隠語などが使われているケースも多く、目が届ききれていないのが実情だ。

 また、利用者の中にはリスクを十分に理解せずにサービスを使う人もおり、特に未成年や中高年層が被害に遭うケースが目立っている。反社会的勢力が資金を得る手段として悪用していることもあるので、使う側は相当な注意が必要だ」

 こうした状況に対し、教育機関や行政は注意喚起や規制強化に努めているものの、根本的な解決には至っていない。

 また、海外のプラットフォーム事業者などに対しては、規制する手段が非常に限られている点も、SNSを通じた売春がなくならない大きな要因にもなっている。

 とはいえ、こうした状況に対して警察も手を拱いているわけではない。警視庁保安課は2024年4月、路上売春容疑で逮捕した複数女性が利用していた先として、歌舞伎町にあるラブホテルとレンタルルーム合わせて23店舗に立ち入り調査を実施。未成年者をホテルに入らせないよう、適切な表示が行われているかなどが確認された。

 警視庁がラブホテルに一斉立ち入りをするなどはこれまでなかったことだ。それだけ現在の売春を巡る社会状況に危機感を持っているということである。

若者の逃げ場となっている「トー横」
トクリュウが利用しようと盛んに接触

 歌舞伎町における「トー横キッズ」と呼ばれる若者たちの存在もまた、現代社会が抱える複雑な問題を浮き彫りにしている。トー横キッズは、新宿区歌舞伎町の新宿東宝ビル周辺に集まり、路上にたむろする若者たちを指す言葉として広まった。「新宿東宝ビルの横」を略して「トー横」となったそうだ。