もちろん学習状況によって、その目安の時期は前後するでしょうし、その際の微調整は問題ありません。

 大切なのは、保護者が直接わが子の中学受験勉強にタッチするその「温度」を事前設定しておくことです。

 もちろん、ご家庭の諸条件、たとえば、共働き夫婦かそうでないか、保護者が中学受験経験者か否か、などによってこの「温度設定」は変わります。

 この「温度設定」で通う塾のタイプを絞りこむことだってできるのです。

重要なのは夫婦の役割分担
どちらかが相談役やガス抜き役に

 2点目は、わが子の中学受験における夫婦の役割分担を明確にすることです。

 たとえば、母親が中学受験に関与する(塾に慣れるまでの学習管理をおこなったり、塾の保護者会や面談会に参加したり、塾の担当講師とのやりとりをおこなったりする)のであれば、父親は敢えて中学受験からは一歩引いて、いざ何か大きな問題が起こったときに母親の相談役になったり、わが子が学習面でスランプに陥るなどした場合はガス抜きをしたりする、などの務めを果たすと良いでしょう。

 これが夫婦ともに同じベクトル・熱量で中学受験に「熱く」なってしまうと、わが子が受験勉強の途上で隘路に嵌ってしまったときに、「逃げ場」がなくなってしまいます。いざというときのアジールになることも保護者の大切な役目です。

 またシングル家庭であれば、そのアジールを祖父母や自身の兄弟姉妹に求めたり、頼れる塾講師を相談役にしたり、できることはたくさんあるはずです。

 中学受験は「大変」な世界だと申し上げました。正直に打ち明けますが、わたしの塾に通う子どもたちの一部には、中学受験を貫徹することなく、途中でやめるケースもあります。

 その理由の1つとして筆頭に挙げられるのが、「保護者が思い描いた成績に到達しなかった」というものです。

 中学受験を始めたばかりのころは、わが子がどれだけ「偏差値」をぐんぐん伸ばしていくか期待に胸が膨らむもの。