しかし、学力を飛躍的に伸ばしていく子どもたちがいる一方で、伸び悩む子どもたちもいるのが現実なのです。
そもそも「偏差値」は相対評価ですから、誰かが数値的に高くなれば、誰かが低くなるという性質を持ちます。
こういう点も勘定に入れつつ、「こうなったら中学受験をやめる」というおおよその基準を事前に考えてほしいのです。これは数値的なものでなくとも構いません。
できれば、質量ともにハードなものが課されるようになる小学校5年生以前でラインを決めておくのが望ましいでしょう。
中学受験「撤退」という表現はNG
子どもが自信を失うリスクも
また、中学受験から切り上げることを「撤退」と表現する人がいますが、わが子の前でそんな負の側面の強いことばを使うのはやめましょう。「自分は逃げてしまったんだ」と当人が自信喪失してしまうことにつながるリスクをはらんでいます。
繰り返しますが、中学受験は特殊な世界。地元の公立中学校に進学して高校受験をするのが一般的です。中学受験を途中で断念したからといって、そんなのは負けでもなんでもないのです。
中学受験の過程で身につける算数・国語・理科・社会の解答スキルや知識などは、子どもたちの「その後」の学びの土台になります。ですから、受験勉強に打ち込むこと自体、どの学校に合格するか否かにかかわらず、大変意義深いものです。
一方で、中学受験勉強は子どもたちから多くの時間を奪うこともまた真実です。特に5、6年生の2年間は「塾中心」の生活になり、習い事の時間を確保するのが難しくなってしまいます。
それだけではありません。友人たちと遊ぶ時間、趣味やスポーツに没頭する時間だって奪われてしまいます。
だからこそ、わが子を中学受験の道へ誘う保護者には次のような覚悟を持ってほしいのです。