ここで口にした「コスパ」の意を汲んで先のご不安を言い換えると、「中学受験でこんなお金を費やしたのに、それを経て『安全校』で6年間過ごした結果、一流大学合格の切符を獲得できないのはコストに見合わないのではないか?」ということでしょう。
中学受験は確かにかなりのお金がかかる世界です。
また、私立中学は入学したあとも相当な授業料などを継続的に支払わないといけませんし、短期留学費用、修学旅行費用、部活動の遠征費…などあまり表に出てこない支出だってあります。そのうえ、大学受験予備校に通い始めたら、さらに費用はかさみます。
でも、第1志望校に合格したらいわゆる「一流大学」の合格は約束されるのでしょうか?そうではありません。中高でわが子がどんなふうに学力を伸長させていくのかは「不確か」なのです。
つまり、中学受験そのものの「コスパ」をわたしが問われたとしたら、「わかりません」と言うより他はないのです。
そもそも、中高時代の教育は「投資とリターン」で考えられるような世界ではないと考えます。
それよりも、保護者にはわが子が生涯付き合える友人と出会ってほしい、心の支えとなる恩師に巡り会ってほしい、部活動や趣味などに夢中になる時間を確保してほしい…そういった「プライスレス」の価値を期待してほしいとわたしは考えています。

付言しますと、「コスパ」ばかり連呼している人って、視野が狭いと感じませんか。
そもそも人生で「コスパ」を希求すれば、結婚だって、子育てだって避けるようになってしまうのではないでしょうか。
こういう点も含めて、わが子の中学受験をスタートするかどうかを保護者は判断していきましょう。