例えば、銀座にある別のクリニックは、保健所に診療科目を「産婦人科」として届けている。しかし、医師である院長には産婦人科専門医の資格はなく、提供している診療行為はNIPTのみだった。
「まるで検査の代行業者のようだった」
NIPTを経験したある妊婦は、無認証クリニックの印象をこう表現した。
増加の一途をたどる
無認証施設
美容皮膚科などの無認証施設は、増加の一途をたどってきた。認証施設と競うようにだ。
次に掲げたのは国内でNIPTを実施する医療機関数の棒グラフだ。

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「認証施設だけでなく、無認証施設もどんどん増えてきている」
そう語るのは、昭和大学医学部産婦人科学講座の関沢明彦教授。長年、国内の出生前検査の研究をリードしてきた第一人者だ。国内の大学や国立研究機関で作る「NIPTコンソーシアム」の事務局も務めている。
認証施設の数は日本医学会が公表しているが、無認証施設は公式に集計された数字がない。NIPTコンソーシアムのメンバーが毎年、インターネットで無認証施設のホームページを閲覧して数えている。
グラフからは、国内のNIPTの歴史が見えてくる。
2013年に認証制度が発足し、大学病院や国立研究機関の研究としてNIPTが始まった。学会の指針で、産婦人科医に加えて小児科医や臨床遺伝専門医の在籍といった厳しい要件を課し、中小病院やクリニックには参入障壁となっていた。